難しすぎてビックリ!フランス・バカロレア2015文学の問題

フランスと日本、都会と田舎、中上級階級と庶民など、さまざまなはざまで生きてきた境界人であるため、他の人と違う視点を持った著述家として活動しています。コラム執筆などの依頼も請け負っております。

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フランスの日常
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先週行われた、フランスのバカロレアの文学の試験。去年は数学の問題が難しすぎたと言われましたが、

今年は

文系バカロレアの文学の問題が難しすぎた!!

と、試験を受けた生徒達が嘆いています。

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問題は小説「ボヴァリー夫人”Madame Bovary”」について2問

『ボヴァリー夫人』は、1856年10月から12月にかけて文芸誌『パリ評論』に掲載されたギュスターヴ・フローベールの小説です。
1857年に風紀紊乱の罪で起訴されて裁判にかけられたほど、当時では愛の描写がセンセーショナルな内容。

しかし、裁判のお蔭で反対に世の中に知られるようになり、ベストセラーに。

当時の雑誌・新聞の書評は厳しいものが多いようですが、「細かな心理描写」「多視点的な構成」でできたこの小説は「写実主義文学の礎」となりました。パリに居たイギリスの小説家サマセット・モームも「世界の十大小説」の一つとして名前を挙げています。

フランス文学が誇る、名作の一つ!

ボヴァリー夫人 (新潮文庫)
ギュスターヴ フローベール

娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや公証人書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔を、精妙な客観描写を駆使した原文の息づかいそのままに日本語に再現する。

が、しかし、

意表を突かれた題材で、悲鳴を上げる受験者が多かったようです。

試験時間の2時間では書ききれなかった人も多く、twitterでは、嘆きの声が溢れてました。

朝、この問題見た時のリアクション

ボヴァリー夫人なんて、読んだことないし

ボヴァリー夫人にやられたわ。

非現実的で、性的でサディスティックな本、もしくは露骨で単調で自殺的。
ありがとう、国民教育省

(英語で)私悲しい
(英語をフランス語風にSADEって書いてあるけど、ほんとの英語ではsadですね)

(英語で)死なせて

今の気分:

実際のバカロレアの問題

時間 2時間 教科比重 4
————————————————–
計算機は使用禁止

問題1(8点)
全体の計画案では、”シャルルの娘が無料の学校に送りだされる”小説の終わりを中心に据えているが、『ボヴァリー夫人』の最終バージョンでは薬剤師オメ―が勝利で終わる。この変更についてどう思いますか?

問題2(12点)
書評で「それはフローベールの小説で重要とされるのは不安の形式」と書かれていますが、どう思いますか?あなたの『ボヴァリー夫人』の知識と成立過程に基づき、答えなさい。

LITTERATURE
Durée : 2 heures Coefficient : 4
——————-
L’usage des calculatrices est interdit.

Le candidat traitera, dans l’ordre qui lui plaira, les deux questions suivantes :

Question 1 (8 points)

Les scénarios d’ensemble centrent la fin du roman sur « la petite fille de Charles […] envoyée aux écoles gratuites ». Mais c’est sur le triomphe du pharmacien Homais que s’achève la version définitive de Madame Bovary. Que pensez-vous de cette modification ?

Question 2 (12 points)

Un critique a écrit : « C’est l’angoisse de la forme qui a de l’importance chez Flaubert. » Qu’en pensez-vous ? Vous fonderez votre réponse sur votre connaissance du roman Madame Bovary et de sa genèse.

Certains se sont même plaints de ne pas avoir eu le temps de finir de l’étudier en cours.

授業聞いてるだけで書ける内容ではない

twitterでは「授業をちゃんと聞いてればかけるんじゃないの?」と言う書き込みもありましたが、『ボヴァリー夫人』の生成過程などを説明する授業って、全部の高校で行われているのでしょうか?

行われてない場合は、自分でここまで勉強しなくてはいけないとなると、かなり大変ですよね(^-^;

しかし、本当の問題は、日本同様、フランスでも

SNSに時間を取られている今の若者は、そんな昔の小説に興味もない人も多い。

と言う話も・・・(笑)

それにしても、『ボヴァリー夫人』

  • シャルルの立場を考えれば”身も蓋物無い”結末
  • 主人公のフランス人女性エマの奔放さ
  • エロティックな描写
  • ブルジョワ嫌悪

と、まさにフランスらしい内容盛りだくさんの小説です。

「エマは自分だ」

と言う人や、庶民の風俗をここまで文学的に書き上げたことを称賛している人など、日本でもフローベールファンは多いです♪

 

コメント

  1. tomopiii より:

    こんにちは、ulalaさん。
    フランスの教育って日本のそれとは全く違いますよね。
    こんな教育?そんな試験?を受けてきたフランス人とは共感できる部分があっただけどものすごいことなんだー!と、思うこの頃です。。。
    ところで文学の試験なのになんで計算機の使用不可?なんですか?
    文学作品の生成過程なんて考えたこともありませんが、生成過程を述べるのに計算機が必要なんでしょうか?
    フランスにいると自分がおバカさんに思えることがたくさんありますが、それと同時にわたしってものすごく容量がいいわぁ〜と、思うことがあります。
    どちらの教育がいいとか悪いとかの問題ではないと思いますが、BACに合格する教育を受けていないから、教養がない部類に分類されちゃうのかしら〜なんて、思ってしまいました、汗。
    知り合いのお嬢さんが17.84?でBACを合格したそうなので、今度聞いてみたいと思います。

    • ulala より:

      こんにちわ~♪
      ほんとに、日本とフランスでは習っていることが違いますよね。
      フランスでは発言する、言葉で戦うことを核として習っているので、慣れないと日本人が討論で負けてしまうのがよくわかります。
      計算機は、私も不思議でしたが、電子機器とか持ち込み禁止ってことなんでしょうか?17.84はすごいですね。ぜひ、聞いてみた結果を、教えて下さいね♪

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