フランス パリ・オペラ座バレエ学校

フランスと日本、都会と田舎、中上級階級と庶民など、さまざまなはざまで生きてきた境界人であるため、他の人と違う視点を持った著述家として活動しています。コラム執筆などの依頼も請け負っております。

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フランスには、バレエdance classicの学校、「パリ・オペラ座バレエ学校」École de Danse de l’Opéra de Parisと言う国立専門学校があります。

パリのオペラ座で踊るバレリーナを目指し、バレエのプロを養成する学校。

ulala家の娘(6才)は踊るのが好きで、去年は幼児クラスのダンスを習い、今年は日程と通っているお友達の関係で、7才用のクラスでクラシックバレエを習うことになりました。

だいたいフランスって、子供の早期教育には消極的で、小さい頃からできるお稽古事も少ないんです。
あっても、がっかりするぐらいたいしたことはしない。
ダンスについて言えば、フランスの幼児のダンス教育よりも、日本の幼稚園のお遊戯会の方が目指すレベルが素晴らしいと感じます。

とにかく

ピアノもダンスも7才から

な傾向が強く、本格的なコースは早くて6才。普通の子だと7才ぐらいからが一般的。

お陰で、去年の幼児ダンスコースのレベルの低さにがっかりでしたが、
今年は意図しないで、6才ながらも、本格的にいろいろ教えてくれる7才のコースに行けるようになったので、ダンスっぽい動きを教えてもらえるようになりました♪

そして、やり始めてから半年が過ぎた頃、
かなり厳しいと評判の、鉄仮面のような先生が、時々話しかけてくるように。

最初は、

「ワガノワって検索してビデオを見てみて。子供達がダンスしていて、娘さんもおもしろいと思うのよ。」

と、突然言われて「なんのこっちゃ?」と思いつつも、とりあえず見てみたら、どうもロシアの有名なバレリーナで、その学校が確かにすごい。結構おもしろかったので、どういった意図があってそんな話をしてくれたのかとも思って、そのビデオをいろいろ見たことを先生に伝えると、

いつも無口だった先生が、

突然、堰を切ったよう喋り始めたのでした( ̄□ ̄;)

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「パリ・オペラ座バレエ学校」の特集

「日曜日に偶然、パリ・オペラ座バレエ学校の番組がやってたのよ。あれを見るといいと思うわ。こんなことは、興味がありそうな親御さんにしか話さないの。

「去年なんて、〇〇ちゃんの指導していたら”私はダンスはやりたくない”なんて言って泣き始めて、そんなお子さんにクラシックバレエなんか無理なのよね。クラシックバレエは、確かに特殊なダンスのなのよ。やる気がなくちゃ修得できないのよ。

「私はモナコのダンサーをしていた時に、ワガノワのメソッドを習ったのよ。日本人のダンサーもいたわ」

「パリ・オペラ座バレエ学校は、技術だけではだめなの。最終的にはフィジック(体型)なの。太ももの長さが何センチとか決められていて、それが通らないとテストに落ちてしまうの」

「うちの娘はパリ・オペラ座バレエ学校に入ったのだけど、3em(高校1年)に上がる所で落とされたのよね。体型が規定に合わなくなってしまったの。技術じゃないのよ。あそこは結局、体型が大切なのよ」

ほんと、フランスはクラシックバレエがまったく盛んじゃないからね。全然、だめ。パリ・オペラ座バレエ学校の番組も、ドイツの会社が作ったのよ!フランスの学校なのに!」

ということで、
「パリ・オペラ座バレエ学校」の特集を見なさいと言うことだったの、後で探そうと思ってたら、

その夜、旦那が偶然見つけすでに娘に見せようとしていました(笑)

そして製作者を見たら、

ARTEだけじゃなくて、NHKも入ってるじゃん。
日本では、先月放送されたらしい。

ARTE NHK

先生に、

「ARTEだけど、ドイツじゃなくてちゃんとフランスのでしたよ。」
「日本のNHKも共同制作者でした」

と言おうと思いつつ、日曜日にやっていた番組の後半も見たのですが、これが結構すごい学校。。。

完全に、バレエの英才教育の学校

実は、フランスでは、クラシックバレエはそれほど盛んではありません。

確かに、フランスにも各地にお稽古事のクラスはありますが、
フランスよりも日本の方がバレエ人口は多いと言われています。

パリ・オペラ座バレエ学校が国立であるのは確かにすごいですが、この学校は日本で言えば「宝塚」みたいなもので、一般市民から見れば、結構特殊な学校です。

地方のクラスから、この学校に入った子がいれば、確実に地方新聞に載るレベル(笑)

通常は、この学校はフランス人のために学校ですが、授業を受ける留学生も受けれるみたいです。

英国ロイヤル・バレエ団の小林 ひかるさんが入ったこの留学生枠、練習は通常学生と一緒ですが、他の生徒が毎年の試験を受けるのと違って、留学生は、先生の評価で上のクラスに上がれるようです。

藤井美帆さん。彼女も留学組として入っていたみたいですが、学校卒業後も、もう一度最終学年を受けさせてもらうよう頼んだり、その後もすごい熱意で7回もオーディションを受け、ついに合格してパリ・オペラ座バレエ団員に、東洋で初めてなった女性。

そして、親が日本人(日本人舞踊家、工藤大貮)で母親がフランス人(パリ・オペラ座バレエ団のダンサーだったノエラ・ポントワ)のハーフのミテキ・クドーMiteki Kudo(工藤 美笛)さん。彼女はもちろんフランス国籍もあり、正式に学校に入学し、最終学年まで行き着き、パリ・オペラ座バレエのダンサーに選ばれた方。

ミテキ・クドーさんの時は、800人の応募者の中から学校に入るための入学テストに合格したのは、

たったの12人のみ

入学試験では、まず、体型基準があり、技術じゃなく、すでに見た目でも選別されます。

Filles
Garçons
8 ans min. 1m32 – 22 kg
max. 1m35 – 25 kg
8 ans min. 1m34 – 25 kg
9 ans min. 1m35 – 25 kg
max. 1m38 – 27 kg
9 ans min. 1m38 – 28 kg
10 ans min.1m38 – 27 kg
max. 1m42 – 29 kg
10 ans min. 1m40 – 31 kg
11 ans min. 1m42 – 29 kg
max. 1m50 – 34 kg
11 ans min. 1m45 – 37 kg
12 ans min. 1m50 – 34 kg
max. 1m55 – 40 kg
12 ans min. 1m50 – 40 kg
13 ans min. 1m53 – 38 kg
max. 1m60 – 43 kg
13 ans min. 1m55 – 45 kg
Opéra national de Paris
Le Palais Garnier et l’Opéra Bastille. Programmation, Billetterie, Informations pratiques.

外国人向けに、夏休みを利用した、短期留学もあるようですが、そちらでもこの体型基準は適用されるみたいですね。

そして、入学すると、

8時から12時までが普通の授業で、1時から5時までがバレエ

毎年テストが行われ、受かった人のみ学校に残ることができ、
最終的に選抜されるのは

わずか2人のみ。

まさに、選ばれた人達。

外界と遮断された特殊な学校生活

オペラ座 バレエ学校
「パリ・オペラ座バレエ学校」は、よく言えば、守られた生活の中にいて、バレエにだけ熱中できる環境ですが、

ほぼ外界との接触なし!

普通のフランス人の子供とは、まったく違う生活をしている子供達です。

年に一度、普通学校の子供達が、「パリ・オペラ座バレエ学校」を見に来るのですが、その子供達の違いにビックリ。

揃って体型も美しい、踊りも素晴らしい、授業中にセリフを朗読するのにも、演技が素晴らし「パリ・オペラ座バレエ学校」の生徒。

そこで、普通学校に行っている子供達を見ると。。。o(>_<)o 確かに、これだけ一つのことに集中できる環境にいられるのは、それを目指す子供達にとっては幸せなことかも。 ほんとうに、恵まれた環境。これだけの環境が揃っていれば、確かに伸びるものも伸びるでしょう。 完全に、一日バレエ尽くし。

午後は、完全に肉体的ななバレエの練習だけども、

午前中にやっている授業も

科学かと思えば「バレエで使う筋肉の説明」とか
歴史かと思えば「バレエの歴史」とか
食品の勉強かと思えば「どれが脂肪がつかないで、痩せた体型を維持する食べ物か」とか
生物の授業かと思えば動物の心臓を見ながら「心臓に脂肪がつかないような食生活について」の話とか

超、バレエな日々。

これこそ、超プロフェッショナルを作る英才教育。

でも、そこまで毎日練習に取り組み、そこまで限定した生き方をして、

とうとう得たダンサーの座も

定年は、42才

おまけに、オペラ座のバレリーナになれても、そこから更に最高位になれるのはほんの一握り。
最初は、群舞を踊るカドリーユ。

そこから除々にレベルが上がって

カドリーユ→コリフェ→スジェ→プルミエ・ダンスール→エトワール

そして、本当に選ばれた人がオペラ座の最高位の「エトワール」に成れるわけです。

まったく、すごい世界です。

クラシックバレエの世界

日本では確かにバレエ人口は多いけれでも、ダンサーのプロとして食べていくのは難しいらしい。

それでに比べてフランスでは、バレエ人口もそれほど多くなく、真剣にやる人も少ないけれでも、

フランスではやればそれなりにプロとして食べていく道がある。

例え、このオペラ座のダンサーになれなくても、
それはそれで、フランスではクラシックバレエをする価値はあるのかもしれません。

実際、オペラ座のバレエ学校に入れるのは、全国でも一握り。

県全体でも、年間にこのオペラ座のバレエ学校に入れる子供が出るのもかなり稀です。
(近辺では、3年ほど前に、一人出たくらいです。)

それなのに、
自分の娘さんを入学させれるぐらいの実力がある、娘のバレエの先生。

そりゃ、、あまりダンスに興味がないお母様やお子さん方に、少しでも興味を持ってもらいたいのだろうと思います。
町の小さいバレエ学校なので、遊びでお稽古事している人が多いので、あんまり熱心じゃないというのも、それはしょうがないと思いますけれども。。

そこで、よく先生の話を聞いて、上手に真似するulala家の娘。
おまけに乗馬をやってるので、足の筋肉がついていて、他の子に比べてぶれません。

先生も、「この子はバレエが本当に好きなんだわ」と思ったのもうなずけます。。

いや・・・それに反して娘は

「クラッシックダンスは、私が目指すダンスじゃないわ。」

とかなんとかで、来年はやらないとか言ってるんですけど・・(^▽^;)
いや。。アハハ。どう考えてもバレリーナは無理と思いますが、娘は何を目指してるんでしょうか?。。(笑)
いやいや、他のダンスするにも、基礎として来年もクラシック・バレエをするといいと思うのですが・・

先生のお陰で興味深い番組を教えて頂いたり、少しでも今まで見たことがなかったバレリーナの世界が垣間見れて、とてもおもしろいです♪

「パリ・オペラ座バレエ学校」リンク

下記が、先生が紹介していた番組。

ご興味があったらぜひ見てみてください♪

◯地球ドラマチック
“エトワール”をめざして
~パリ・オペラ座バレエ学校の子どもたち 前・後編~

◯フランス語のARTEの番組はこちら↓
一話は普通に見れます。2話からは登録が必要みたいです。
GRAINES D’ETOILE

◯ ↓番組の一部が見れます。
Graines d’Etoiles – extrait épisode 1 “La rentrée”
Graines d’Etoiles – extrait épisode 2 “Au travail !”
Graines d’Etoiles – extrait épisode 3 “Les progrès”

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