笑うことが禁止されていた中世のカトリックの世界

フランスと日本、都会と田舎、中上級階級と庶民など、さまざまなはざまで生きてきた境界人であるため、他の人と違う視点を持った著述家として活動しています。コラム執筆などの依頼も請け負っております。

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笑うこと禁止されていた中世カトリック フランスの文化・習慣を知る
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はーい(^O^)/Ulalaです♪楽しい一日を過ごしましたか?

前回、こちら↓の記事で、日本は「ありのままを肯定してみんなで笑って認める」文化があるってお話をしたのですが、

ありのままを肯定し、みんなで笑って認める日本文化
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実は、フランスははじめとするヨーロッパでは、

笑うことは禁止されていたのを知っていましたか?

その影響でしょうか、現在でもその傾向がみられるときがあります。

フランス人と話ていると、失礼にならないように、なるべく笑わないように真剣な顔をしようとしていることが結構多いんです。

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笑うとバカにされたと思うフランス人

なるべく失礼にならないように笑わないということは、裏を返せば笑ってバカにするということです。

ある時フランス人がこういっていました。

そのフランス人が日本に行った時、食事したところのお店の人に

美味しかったです。

と日本語で言ったそうです。

そうしたところ、お店の人が笑って喜んだのです。

しかし、日本語も話せないそのフランス人は

バカにされた。僕の日本語の発音が悪かったからかな?

と思ったそうです。

しかも、フランス人って、すごいアクセントを気にしていて、普段から誰かの話す英語などを聞いてもどこなまりだとかすごい敏感に言っているものだから、他の人も自分のことそう言っていると思いがち。

違いますよ。日本語で話してくれたので喜んでいただけですよ(^^♪

と、訂正して説明しておいたけど

フランスの「笑う」って行為は、「人を馬鹿にする」

と意味だと、改めて思いました。

私自身も、日本人が笑ってると、

楽しいのね(^^♪

と思うけど、

在仏が長くなってくると、フランス人が笑ってると、

こいつ性格悪Σ( ゚∀)

とか、思えてくるから不思議。。。

もちろん、その時の雰囲気にもよりますがね。

このようにフランス人が笑うことにネガティブな感情を抱くのは、

中世時代、ヨーロッパの一部のカトリックで、笑うことが禁止されていたことも影響しているのだと思います。

笑うことが禁止されたカトリックの世界

アリストテレス

古代ギリシアの哲学者アリストテレスは、著書「ニコマコス倫理学」の中で「エウトラペリア」について語っており、品行方正に欠ける笑いはダメとしていました。

その後、エウトラペリアの「悪徳」は、キリスト教徒(カトリック)の間で卑しむべきものされていったのです。

と言っても、派閥によってもかわってくるので、全員がそうであったわけではありません。

例えば、現代も活動するカトリック教会最古の修道会、ベネディクト修道会では、「笑いは悪魔の特徴」「悪魔の笑いが災いをもたらす」とされてきました。

しかし、フランチェスコ修道会を開いたアッシジの聖フランチェスコにとって喜びは神の領域にあるので、笑う行為は神に近づくことであるとし、フランチェスコ修道会の修道士はよく笑ってきました。

その話が題材になっているのが、ショーン・コネリーが主役を務めた1986年公開の映画「薔薇の名前」です。

映画「薔薇の名前」

「薔薇の名前」は、もともとウンベルト・エーコの小説で、ジャン=ジャック・アルノ―が映画化したもの。歴史的舞台背景と、推理探偵ものが合体した作品。世界でベストセラーになりました。

舞台は、1327年、北イタリアのベネディクト修道院。ショーン・コネリーが扮する、フランシスコ会修道士バスカヴィルのウィリアムがやってくるところからはじまります。本筋はアデルモの不審死から始まる連続殺人事件の真相を追うというストーリー。

その会話に時代背景が語られていたり、異端に対する認識の違いが語られていたり、貧困の庶民との関係など、語られていることは多岐にわたるのですが、全ての原因になったのは「笑い」について。

先ほど述べたように、ベネディクト修道会では、笑いは禁止されています。

例えば、こんなシーンがあります。

丁度入ってきた図書館副司書でかなり太っているベレンガーが、床を走る鼠に驚いて、女のような甲高い悲鳴を上げて椅子の上にかけあがる。
すると、それを見て、室内の修道士たちが笑いはじめるが、突如、「笑うな!」という峻厳な命令の声が響きわたる。それは、盲目の長老ブルゴスのホルヘでした。
ウィリアムは、「笑いは禁じられているのですか?」と尋ねると、ホルヘは、「笑い」はキリスト教徒には相応しくなく、そもそも人間にとって笑いは悪なのだ。「きみのところでは違うかもしれないが」

そう、ウィリアムはフランシスコ会修道士なので、笑いは許されていたんですね。

そして、最後の方で明かされるのですが、ホルヘの考えでは、

笑うことは世の中がカオスを迎えることになる元凶

だったのです。

「イエス・キリストは笑わなかった。そういった記述は残されていない…笑いは恐れを無くす、恐れを無くしたら信仰は成り立たぬ。悪魔への恐れなくば、神はもはや必要とされぬ。庶民の中には笑いは生き続けるだろう。…しかし、我々がそれを認めて、神を笑うことが許されれば、世界は再びカオスを迎える。」

これほどまでに笑うことを否定することがヨーロッパでベースになっていたことが、驚きとしかいいようがありません。

「薔薇の名前」の映画に興味ある方はこちらをどうぞ↓

 薔薇の名前(字幕版)
ジャン=ジャック・アノー、ウンベルト エーコ

迷宮構造をもつ文書館を備えた、中世北イタリアの僧院で「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が。バスカヴィルのウィリアム修道士が事件の陰には一冊の書物の存在があることを探り出したが…。精緻な推理小説の中に碩学エーコがしかけた知のたくらみ。

「薔薇の名前」の小説はこちらになります↓

 薔薇の名前
ウンベルト エーコ

迷宮構造をもつ文書館を備えた、中世北イタリアの僧院で「ヨハネの黙示録」に従った連続殺人事件が。バスカヴィルのウィリアム修道士が事件の陰には一冊の書物の存在があることを探り出したが…。精緻な推理小説の中に碩学エーコがしかけた知のたくらみ。

その後のフランス、貴族が笑うのは「はしたない」

ベネディクト修道会では、

「笑いは悪魔の風。笑いは人間の顔をゆがませ、猿の顔にしてしまう。」

とそんな風に言われていました。

そこで、フランスの貴族の描写には、笑うことがはしたない、威厳を見せるのに笑わないと出てくることがあります。

これはやはり、ベネディクト修道会のカトリックの影響があるのかもしれません。

笑わない貴族

明らかに、笑いに対してはの考え方は、日本とヨーロッパでは違うことは間違いないでしょう。

まあ、全てが完全に残っているわけではないですが、慣習として一部残っていることは覚えておいていいと思います。

ということで、日本とヨーロッパでは、笑いの感覚が違うのです。

ヨーロッパに来て、何気に笑う時は、少し気を付けた方がいいかもしれませんね。

それでは、また、明日(^^♪

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