フランスの小学校の授業時間数と日数は、日本より少ない?

フランスと日本、都会と田舎、中上級階級と庶民など、さまざまなはざまで生きてきた境界人であるため、他の人と違う視点を持った著述家として活動しています。コラム執筆などの依頼も請け負っております。

ulalaをフォローする
教育関連
この記事は約10分で読めます。

フランスの小学校は休みが多い

フランスで子育てしていて、いつも頭を悩ます事は、

「バカンスがありすぎ」

ってこと。

日本語でバカンスと言うと聞こえがいいけど、要するに冬休みや夏休みのことで、親が働いていようがなんだろうが、子供が学校に行かない日となります。

現在は、7週間毎に2週間のお休みを目指しているため、

ABCに分けられた地域ゾーンによって違いますが

トゥッサン休み 2週間Vacances de la Toussaint 10月頃 
クリスマス休み 2週間Vacances de Noël 12月頃 
冬休み 2週間Vacances d’hiver 2月頃 
春休み 2週間Vacances de printemps 4月頃 
そして、7月から8月(週のまたぎ方によっては9月始めまで)の長い夏休み

おまけに、小学校では水曜日も休みで、週4日の授業。

「ヾ(・・ )ォィォィそれで勉強時間足りてるのか?」

と言いたくなりませんか?

実際、ulalaが日本で小さい時に学校で習ったことを、
子供達が習ってないことが多い気がしてしょうがない。

例えば、

音楽
音楽の授業は、多少あるものの、ulalaが幼稚園でマーチングをしたり、ピアニカの演奏したのとは大違いで、学校では楽器の演奏は習わない。中学校になって縦笛とか多少ある程度。幼稚園のクラス全員でピアニカの合奏とかできちゃう姿は、フランスやイギリスでは驚愕の事実w(( ̄ ̄0 ̄ ̄))wワオッ!!

体育
日本の体育で、50m走やマラソン、幅跳び、ハードル走、水泳、バスケットにその他の球技をした。フランスの小学校はまずプールが学校に設置されてないのが普通。なので、公営のプールが使うのだけど、距離などの問題でできないことが多い。そのため低学年の水泳の授業は、できる環境ならすると言うことで、できない学校では高学年に多少あるだけ。
その他の陸上競技は、中学以上からのようです。学校によるだろうけどバスケットすら小学校の授業でないところも。

算数 
掛け算は日本だと小2ぐらいで覚えるのに対して、こちらは小2~小4まで時間をかける。
割り算は、日本だと小3ぐらいだと思うけど、こちらは小4から
最大公約数とか、日本だと小学生だったと思うがこちらは中学に習う?

細かいことを言い出したらきりがない。。。

そんなこともあってフランスの小学校での教育は十分なの?と感じてしょうがないのです。

特に音楽や運動系は、授業が十分にないので、学校外の活動としてお稽古事をやった子は「できる」やってない子は「できない」に分かれることになります。

日本のように学校で習ったから「なんとなくみんなできる」にはならないんです。

ようするに、その学校外の教室にどれだけお金と時間をかけれるかと言うことで、
そこに貧富の差による、能力の差が生まれてくるのは確かと感じます。

スポンサーリンク

フランスと日本の小学校の授業日数、時間を比べてみた

とは言ってもフランスも昔はもっとたくさん学校に行っていた。
行かなくなったのは最近。

よく考えれば、日本も同じで、ulalaもゆとり教育なんてものが無かった時代に長い時間学校に行ってました。その影響もあって、学校で習ったことが多かったと記憶してるんだろうとは思います。

今のフランスの「激ゆとり教育」と思える体勢も、日本のゆとり教育とそんなに変わらないのかもしません。

ということで、フランスと日本の授業日数や、時間について比べてみました。

ここで、フランスの小学校は日本でいう小学5年生までなので、
日本も小学5年までとして比べることにしました。2012年度の数字です。

◯ 年間の授業日数

日本   標準では授業は年間35週(1年生は34週)となってますが、
     実際は39週~41週
フランス 36週 各学校、ほぼ守ってます。

日本は、各学校が地域の状況や児童・生徒の実態にあった授業時数を定められることになっていますので、授業日数に幅があります。

それでも大抵の日本授業日数は、
フランスより、3週間、ほぼ一ヶ月、授業日数多いことになります。

ただ、授業日数が多くても、いろいろな行事なども日本を多いっていうのもありますので、授業時間数でも比べてみます。

◯ 年間の標準授業時間(単位:時間)

小1 小2 小3 小4 小5 合計
850 910 945 980 980 4665
CP CE1 CE2 CM1 CM2 合計
864 864 864 864 864 4320

参考 
2008年度のゆとり世代といわれた日本の授業時間数(単位:時間)

小1 小2 小3 小4 小5 合計
782 840 910 945 945 4422

日本は、低学年の授業数が少なく、高学年が多くなる時間設定になってるのに対して、フランスは幼稚園から小学校5年生まで同じ時間数なため、小学生1年の時は、日本フランスより授業時間が少ないですが、その後はフランスより多くなります。

また、一番フランスの授業数に近かったであろう、日本のゆとり世代時に比べても、フランスの方が少ないみたいです。

フランスはこの他に2010年から勉強面で問題がある子供達に特別授業の時間を設けることになっているので、最高2h/週のプラスされます。もちろんプラス0時間の子もいます。

◯ 1週間の標準授業時間

フランスは一日6時間づつ4日で週24時間

日本は週5日の授業で、週全体の時間は各学年によって下記の表

小1 小2 小3 小4 小5
18時間45分 20時間15分 19時間半 21時間 21時間

これは標準授業数なので、各学校かなり違うと思いますが、10%増で考えても5日/週なので、日本は、フランスよりも一日の授業時間が少ないことが分かります。

◯ 結論

1.フランスはバカンスが日本に比べて約1ヶ月程多い
(=フランスは授業日数が約1ヶ月少ない)
2.フランスの小学校の5年間の授業時間のトータルは、日本の年間のそれより少ない。
3.フランスの小学校は、一日の授業時間が日本と比べて長い。

やっぱり、今の日本の授業数に比べてもフランスの授業数は少ないみたいです。

でも、基本的には家庭科や工作、習字、音楽、体育の時間が日本に比べて少ないと言うことで、主要の教科についてはとりあえず網羅はしているとは思われます。

来年から変わる、フランスの週5日制

Dionne Quintuplets - School Days / Quintuplées Dionne - Journées à l'école
子供のバカンスが長すぎる点については、フランスにとってはほとんど問題ないようですが、

「一日6時間の授業は、子供達が非常に疲れてしまう」

と言う点は常が問題視されてきました。

と言うことで、現在。2013年からの授業日数を水曜日の午前中を増やして週4.5日にすると方針が、1月に発表されたところ。

それをうけて、
「水曜日の朝が増えるなら、授業数も増えてよくなるのね♪」
と思ってましたが、単純にはそうではないみたいです(/_;)

週の授業日数を、4日から4.5日に変更するのですが、、

24時間/週という1週間の授業時間は変わらない(; ̄ー ̄A アセアセ・・・

子供の一日の授業時間を減らすことを目的にして、

一日の授業時間を最大5.5時間に。
水曜日の授業時間を最大3.5時間に。

と規定しました。

でも、そうすると

例えば、下記のような時間割りな場合
午前 9時~12時
午後 14時~17時

水曜日に最低でも3時間分を振り替えなくてばいけないのですが、
帰りを16時半にして、30分づつ削ったとしても、トータル2時間にしかなりません。
あと1時間分をどうもってくるかと言う話になります。

2日間は16時に帰ることにしたりしなきゃだめ?

でも、実は学校側からは最低変えてもらいたくない内容として、

16時半以前に授業を終わらせないこと

と言うことを提示してました。

それが、今回の発表内容では実現することが難しいということで、もちろん先生達は合意しません。

ということで、早速2月12日の火曜日にストが行われることに。
それも、フランス全体規模で、すごい参加率です。

まあ、学校や自治体によって細かい部分が違ってくるかもしれませんが、
うちの地域では、火曜日のストはそういう理由だそうです。

学校が早く終ると、仕事をしている家庭はすぐには迎えに行けないので、市の職員などが預かることになります。そうなると、市町村が余分にお金を払わなくてはいけないというのは結構大きな問題。

もし、市町村が払えない場合は、家庭が払うことになります。
それが払える人はいいけど、払えない人はやはり市町村に頼ることに。

うちの地域ではすでに去年、人が足りない手薄な状態では実地は無理なことを経験したところ。

去年は、国から市町村に対する教育補助費が少なくなり、学校で子供の世話をする職員を雇えなくなったことがありました。

その時は、普通だったら二人はいなくてはいけない場に、やっとのことで一人づつしか配置することしかできなくなりました。
そうすると、誰かが怪我してもその場を離れることができないので、手当しに移動することもできず、問題児に目を引かさせることもできず、給食時間も遅れるし、目が届かないので子供が好き勝手状態になり、誰が怪我させられるかも解らないという危うく、危険な状態に。。。。

その時も、先生達がストをしたけど、それはあまり効果がなく、
結局は、各親達一人一人が、直接市長の家に手紙を送り続ける作戦で、なんとか職員を雇うことを承認させて危機を乗り越えたところです。

というか、どうして24時間/週のままなの?すっかり水曜日午前中が増えれば、授業時間も増えるのだと思ってたんですが。。。

最低でも25時間/週とかにして、授業時間を増やすだけでも、16時半は守れるんだよね。。なんか中途半端すぎる。。

でも、そうすると今度は先生への給料を増やさなくちゃいけないとか、労働時間が長くなるだけで給料は増えないとか、そういう問題にもなってくるのだとは思いますが。。

と言うことで、家庭で面倒が見れる場合は、2月12日の火曜日は学校がお休み。
ulalaの学校は、それでもまだ親切で、働いているなどで家庭で面倒みれない家は、市の職員管理で、学校で自習することができます。

実質授業の時間にちょっと疑問点も。。

そう、ただでさえ年間の授業数も少ないのに、こんな風にストがあると、さらに少なくなるのがフランス。

おまけに、一日6時間と言っても実質の授業時間じゃない気がするんですが。。

時間設定も、によっては違いますが、
ulalaの地域の学校の例を取ると、

午前 9時~12時 うち、15分休憩
午後 14時~17時 うち15分休憩

で、実質は授業時間は一日5時間半。

一日6時間の4日分で、24時間/週、勉強していることになっているけど、実質は22時間じゃないですか???

おまけに、これプラス先生の病欠と、年2,3日のストで学校が休校になるから、多分、年間4,5日ほど、予定している授業日数より少ないのではないかと予想されます。

日本は、一時限45分のコマ数で計算してるから、出されている時間は、休憩時間を抜かした実質時間だと思うんですが。。。
そして、病欠や出張で何日か空く時があるかもしれないけど、ストはないしね。

こういう体系に至るまでのフランスの授業数の過程

doisneau - information scolaire
欧米のバカンス、特に夏のバカンスが長いのは、小麦の収穫などに人手が必要なので子供も学校を行かないで手伝ったからだそうですが、

昔はフランスもすごい勉強していました。

例えばリヨンのある学校の記録を見ると、

昔の授業は、お昼時間2時間を挟み、朝8時が16時まで授業。週5日。
19世紀後半からは、働いている親のために市が面倒を見ることで、朝6時から18時まで子供が学校に居れるようにしていたそうです。

その当時は、木曜日と日曜日が学校がお休みだったけれども、1972年から木曜日から水曜日をお休みに変更。でもまだまだ土曜日にも学校に行っていた時代。

それが、2008年から、土曜日もお休みにして、週4日に移行。
小学校に関しては、水曜日も、必要なら授業をしてもいいとはしていたけど、そんなことをする学校はほとんどなかったとか。

1887年 30h/週 週5日
1991年 26h/週 週5日
2008年 24h/週 週4日
あまりにも、学力の低下が目立ったため、
2010年からは、これプラス、勉強面で問題がある子供達に特別授業の時間を設けることに
2013年 24h/週 だけど、週4.5日授業(まだ未定)

日本も、

ulalaの子供時代は、6年間で5785時間の授業
ゆとり世代は、5367時間

しかし、日本も学力の低下が問題になったため、
移行期間を経て、2011年からは 5645時間

こう2つの国の移り変わりを見ても、学校の授業時間が少なくなると、確実に子供達の学力低下に繋がるのは事実みたいですね。

とりあえず、来年度のフランスの学校改革の時間割はどうなるかわかりませんが、
もう少し、授業数だけじゃなく、授業日数も増やして欲しいな~。

なにか、間違っているところ、添付した方がいい資料等あれば教えて下さい♪

コメント

タイトルとURLをコピーしました