フランスの路上生活者を寒さから救うシェルター「イグルー」

フランスと日本、都会と田舎、中上級階級と庶民など、さまざまなはざまで生きてきた境界人であるため、他の人と違う視点を持った著述家として活動しています。コラム執筆などの依頼も請け負っております。

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フランスの日常
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フランス語で、路上生活者またはホームレスはsans domicile fixe (SDF)

2012年の調べでは、全国にホームレスは14万2千人いたと言われていますが、その数は増えつづけ、現在はで20万人にのぼると言われています。しかしながら実際の正確な人数は把握できていません。

そんな中フランス全体ではないですが、2018年2月の15日深夜から16日未明にかけてパリ市内のホームレスの調査が行われました(

パリ市は、路上などで暮らすホームレスが市内に少なくとも3600人いるとのこと。

ホームレスの4人に一人は仕事を持ち、ホテル暮らしの人もいますが、ホームレスの中には障害を持ち働くこともできない理由などから、路上生活で生活をしているがほとんどです。

そして、本当に厳しい生活を強いられています。

フランスのホームレスの生存率は10人いて4人のみ

この数字からもその生活が伺えるのではないでしょうか。

そんな中でももっと厳しい冬がやってきました。そして冬だけに留まらず、更に今年は

大寒波

2月25日から大寒波に襲われたフランスは、いつもは降らない南仏にまで雪が降り、フランス中で氷点下を記録する数日が続いていました。

毎年、路上に住むホームレスに少しでも屋根付きの場所が提供されますが、その数は十分ではありません。

そんな中、脚光を浴びたのが、南西部ボルドー(Bordeaux)のエンジニア、ジョフロワ・ド・レイナル(Geoffroy de Reynal)氏が作り上げた

「イグルー」

エスキモーの使うかまくらの名前を付けたドーム型のシェルターです!

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発泡ポリエチレンでできた簡易シェルター

イグルーが紹介される何日か前にも、ボルドー近辺の森の中でホームレスの遺体が見つかったというニュースがありました。町中だけではなく、森の中など野外で過ごすホームレスの疲労はこの冬の寒さの中で極限に達します。

そんなニュースに心を痛めていたジョフロワ・ド・レイナル氏。若干26歳。ホームレスが手軽に寒さをしのげるシェルターの開発に取り組みました。

軽くて、現地で組み立てやすいシェルターを目指し、発泡ポリエチレンにアルミニウムを張って作り上げらました。

その結果、作成コストも比較的安く、リサイクルもできるので環境に優しく、外気との温度は最大15度と言う断熱性を実現。

コストが安いということは、必要な人に必要な数だけ提供できる可能性が広がると言うこと。

↓ジョフロワ・ド・レイナルさんが、イグルーを作っている様子の動画。

開発を終えて、9個の試作品を作り、支援金を募ることに。

支援金の目標は、5000€

しかし、その手軽さに共感を持つ人が多かったようです。

なんと、支援金は最終的には18000€に達し、目標の3倍以上を達成!

↓活動のサイトがこちら
https://www.iglou.fr/

支援金を得たお陰で制作を進めることができ、お陰で2月の大寒波前に、ボルドーとパリに設置することができたのです。

今回は、パリに10個のみなど数的には少数ではありましたが、今回の成果を受けてもっと要望が増えることでしょう。今後の活躍が楽しみです(^^♪

あとがき

2012年の資料()によると、ホームレスの38%は女性。また55%(4万5千人)は外国生まれで子供を連れている場合が多く(30700人の子供のうち23700人)、その子供達はフランス生まれとなっています。

日本とはホームレスの多さの規模も違うし、女性の数の多さにも驚かされます。外国生まれの人の数も多いですが、それでも45%はフランス人と言う事実。女性のSDFの中には伴侶との死別や、DVで逃げて来た結果と言う人も多く、そこには厳しいフランスの現実が見えてくるのではないでしょうか。

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