イスラム教の国の男女に聞きました。”女性の適切なスタイル”はどれ?

フランスと日本、都会と田舎、中上級階級と庶民など、さまざまなはざまで生きてきた境界人であるため、他の人と違う視点を持った著述家として活動しています。コラム執筆などの依頼も請け負っております。

ulalaをフォローする
フランスの日常
この記事は約7分で読めます。

どの服装が、女性に適してると思いますか?

という、7カ国のイスラム教徒の国で実施した調査が、世界的に大きな関心を呼んでいます。

スポンサーリンク

イスラム教徒の女性の服装についてのアンケート

フランスでも、頭にスカーフをしている女性をよく見かけます。
それはイスラム教の聖典に、女性は顔と手以外を隠し近親者以外には目立たないようにしなければいけないことが書かれていることからイスラム教徒の女性は頭を覆う服装をしているのです。

でも、隠すと言っても、髪だけを隠す場合や、顔は出すけど頭から体全体を隠したり、目以外の顔から体全体を隠していたりと、同じイスラム教徒でもいろいろなタイプの覆い方があるようです。

アバヤ アバヤはアラビア半島の伝統的な民族衣装で黒い布で目と手足の先以外をすべて隠している。

ヒジャブ ヒジャブはスカーフのような布で頭髪を隠すものである。もっとも一般的な服装である。

ヒマール ヒマールはへジャブより、隠す範囲が広がり、背中まで隠す。

ブルカ ブルカはアフガニスタンで用いられている民族衣装で目の部分も網状になっていて完全に隠れている。

ニカーブ ニカーブは目だけ見せるものである。色は黒が多い。

チャドル チャドルはイランに多い服装である。顔だけ出して体全体を隠す。

ブルキニ ブルキニは近代になってから登場したムスリマ向けの水着である。イスラム教の戒律に合うように全身を覆うタイプの水着になっている。

Wikipedia

そんな服装の違いから見えてくる宗教に対する考え方や男女平等具合などを知るために、イスラム教徒の国7カ国の女性の適切な服装についての調査がアメリカの大学によって行われました。

◯ 最終目的は?

1)調査対象7カ国の宗教原理主義のバリエーションを説明する
2)これらの国の西洋文化の浸透程度を知る
3)男女平等や世俗主義や宗教などの問題などについて、これらの国に住ん​​でいる人々の間での態度のバリエーションを示す。

◯ アンケートの結果

1214-WEB_voiles_homme-femme

パキスタンを除いて、男女の好みの違いはありませんでした。
パキスタンの男性は保守的なベールをすることを望んでいます。
反対に、レバノンやチュニジアでは、男性よりも女性の方がベールをかぶることを好んでいるようです。
男女共、女性が好きな服を着てもいいということには、意見が違うようです。
サウジアラビア以外は、女性の方が男性よりも好んでいる傾向にあるようです。

(出典http://www.courrierinternational.com/

このアンケート結果を見る限り、女性が男性に強制されて頭を覆う服装をしているわけではなく、女性の意思が反映されて身につけていることが見てとれ、男性が望んでいなくても女性の方が身につけたいと思っている国もあることが分かります。

フランスでのイスラム教徒の服装に関する法律

アンケートで見えてくることは、

女性の服装が、男性による強要ではないこと

しかしながら、フランスではイスラム教徒の女性の服装は強要によるものだという認識が一般的です。

スカーフの着用については、いろいろと論議を醸しだしてきた結果、フランスでは、非宗教という立場をとっていて、学校では宗教性を示す物の着用が禁止とされています。

学校の生徒のみならず、親も同じ。
お迎えはOKだけど、課外学習で付き添う場合はスカーフ着用不可なんです。

そして更に学校にかぎらず、公共の場所や一般道路、学校などでブルカやニカブの着用を禁止する政府法案が2010年9月14日に通り、2011年4月11日からこの法律が施行されました。

この法案はイスラム教徒に言及してはいないが、ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)政権は、イスラム教徒の衣装であるブルカやニカブの着用の強要から女性を保護する手段であるとして法案成立を推進してきた。

施行後は、まず6か月間の「教育」期間が設けられ、顔を覆うベールを着用している女性たちに、公共の場所でベールの着用を続ければ逮捕されることを説明する。禁止法に従わなかった場合、150ユーロ(約1万6000円)の罰金または市民権講座の受講を義務づける。また、女性にベール着用を強要した男性には、3万ユーロ(約300万円)の罰金と禁固刑を定めた。

国際ニュース:AFPBB News
AFPBB Newsは、世界三大通信社のひとつであるAFP通信が配信する世界中のニュースをお届けする日本語ニュースサイトです。総合ニュース、速報、環境・科学、ライフ、スポーツ、ファッション、時計、動画など、世界 165 カ国から届いた情報を掲載しています。世界中の「今日」を伝えるAFPBB Newsで、最新の国際ニュー...

公共の場では、まあ、スカーフで髪ぐらいを隠すのはいいけど、顔から体全体まで隠す服はやめようよ。というもの。

ベルギーやオランダでも同様の法律ができ、当時から論議を醸しだしてきました。

ニカブ

しかし信教・表現の自由の侵害だと、断固戦うと宣言してきた女性も多く、

そして、2013年11月27日に「顔をすべて覆うベール」の公共の場所での着用を禁じる法律が、信教の自由を侵害する差別的な法律かどうかを問う裁判が欧州人権裁判所(European Court of Human Rights)で始まりました。

元サルコジ大統領は「ブルカは宗教的なものではなく、女性の服従の象徴だ」と言っていますが、今回のアンケート結果を見ると、それは本当に事実なのか?と言うことになります

実際、知り合いのイスラム教徒の女性がいつも言うのは

「自分が身につけたいから身に付けているのよ」

ということ。

フランス人達が衝撃を受けてやまないアフガニスタンのブルカすら、アフガニスタン出身の知り合いが言っていたのは、
400px-Burqa_Afghanistan_01

「子供の頃、わざわざおばあちゃんがちっちゃいの作ってくれて、それを着せてもらったのがうれしくてみんなで喜んでたけどね~」

と、あれは民族衣装なので、日本で言えば「着物を着せてもらった」と言うような感覚のようでした。

今回の裁判でも、

女性は「ブルカ禁止法」によって信教の自由、表現の自由、集会の自由を侵害されたと訴え、同法は差別の禁止を定めた法律に反していると主張。男性に強制されてブルカを着用しているわけではなく、治安上の理由で必要なときは脱いでも構わないと書面で証言し、仏当局がブルカ禁止の最大の理由としている2点に反論した。

原告側弁護士の1人は、法廷で「ブルカ着用は過激派のしるしではない」と述べた。
仏「ブルカ禁止法」は差別か、欧州人権裁判所で審理始まる

というように、「男性に強制されて着用しているわけではないこと」が証言されています。

男女差別の象徴と感じてるのは、欧米人の一方的な見方である可能性はあると思います。

まあ、一部の地域や、個人はそうであるかもしれないことは否定できませんが。

欧米社会が持ってるイメージの払拭が課題

欧米でブルカやニカブが問題視される本当の理由は。やはり後から来た移民が、いままで築きあげてきた文化や規則を守らないことに対するいらだちが根底にあると思います。服の下に何が隠されているか解らない不安からテロを連想してしまうこともあるかもしれません。

ましてやフランス国内で起こっていることなので、フランスの法に従えと言うのはもっともなこと。

でも、それを女性開放問題に引っ掛けると「ちょっと違うんじゃないの?」感がでてきちゃうんですよね。。。

ぶっちゃけ

「あの黒い服で過ごせるなら、毎日洋服のこと気にしなくていいし、体系も気にしなくていいし、便利じゃん」

と思いますが、フランス人の友人に言わせると

「あの服装は絶対許せない」

なのだそうです。

確かに20世紀初頭に、エジプトで女性開放運動が広がって、その項目の中に「脱べール」も掲げられた経緯もあります。

が、エジプトの「脱べール」については、エジプト人女性フェミニスと、西洋人フェミニストの言っていることのずれはその当時からあったようです。しかも、そこから100年かかって論争してきても、まだお互いが納得できる点に達してない(汗)

フランスや欧米の受け取り方と、現地の人が思っているとは違うことが原因ですよね。

他の国には他の国の文化があるのにもかかわらず、それを無視して欧米が自分の文化を中心に考えて勝手なイメージをしてしまう。

それは、

フランスのメディアが書いている「日本のこと」と、「日本現地の実情」が、かけ離れているのは同じ理由なんじゃないかと。。。

ということで、今後の動きが気になるところです。

素人が思ったことを書いている記事なので、記述で間違っていることがあればぜひ教えて下さい♪

ニカブを身につけたイスラム女性と西洋人を表した動画

「BEHIND THE WALLS」 
欧米人が抱く感情や実際・・なかなか上手に描かれています。
動画はほとんど誰もしゃべらないので、言葉の問題なく見れますよ♪

 

コメント

  1. 通りすがり より:

    通りすがりですが、たしかに女性の地位とかそういうのに引っ掛けるのはおかしい気はしますね。
    政治家がそうするのは人気取りのためだと思います。
    人口のの半分は女性です。その女性の支持を今1番得やすいのが女性差別とか軽視とかそういうネタなんだと思います。特に欧米では。日本も最近女性議員の活躍が目立ってきてますが、欧米から伝わってきてるのだと思います。
    いかんせん日本の場合女性の自立を進めたい人と現状が変わってほしくないと思っている女性同士での対立が1番大きいと思いますがね。
    女の敵は女ってやつですね。

    このイスラム教徒の服装の件に関しては、やっぱり顔を覆ってしまうのは良くないと個人的には思います。
    イスラム国家の場合はそれで良いでしょうけど、やっぱり郷に入ってはってやつだと思います。
    これは他の宗教や習慣でも同じですけれど、現代のイスラムに関してはこれが強く、戦争等のネタにさえなっています。
    正直ビジネスとしてハラール等を持ち込むのは良いと思いますが、前にあった空港で足止めされた際に出てきたご飯に豚が入ってて〜みたいなのは本当にくだらないと思います。
    それを防ぎたいのであれば自衛をするべきですし、自国から出てきてほしくないですよね。
    イスラム教徒にもいい人悪い人居ます。
    しかし、イスラム教の教え自体が他宗教と相いれない教えになっているので、この問題の解決はイスラム教徒がイスラム教を捨てるもしくは解釈を軟化させるか、隔離される意外はこの先ずっとなくならないんだろうな〜なんて考えてます。
    そう考えると宗教って色んな意味ですごいなって改めて思いますよね。

    関係ない話までしてしまいました笑

    • ulala より:

      日本でも、ヘルメット着用でコンビニ等に入ってはいけないように、顔を覆うのは防犯のためにも禁止する国が増えてきてますよね。それはしかたないと思います。

      確かに、宗教って、いろんな意味で凄いですね。

  2. ムスリマ より:

    日本人イスラム教徒です。

    中東に行った事のある人ですら偏見があるのに、イメージを払拭するのが困難に感じます。

    イスラームは簡単で優しい宗教です。これをしなければ絶対にダメということは殆どありません。

    殺人や自殺は地獄にいくとされていますが、その他はお酒や豚、禁じられていますが、殺人に比べて大きくありません。

    また知らなくて食べてしまったものがお酒や豚の成分がはいっていても大きな問題ではありませんし、飢餓しそうなくらい身の危険があるならダメなものであっても食べることが許されます。
    礼拝もどこでもしなければいけないわけでなく、適切な場所でなければ、後の時間に振り替えてやります。
    ヒジャーブも女性の美しい部分を覆いなさい、とコーランには書いてありますが、顔を隠すかどうかは個人の見解次第です。
    謙虚に生きることがよしとされています。

  3. 名無し より:

    宗教によって規律があることは理解できる
    でも同じ社会に生きるということは共生するということ
    共に生きるためにはお互いを尊重することが必要だ
    一方的に押し付けてはいけないし、自分の生活のために
    他者を犠牲にしてもいけないということだと思う
    ムスリムたちは「理解を得る」「誤解を解く」の先に
    多文化を尊重して共に生きることの意味を考えてほしい

タイトルとURLをコピーしました