原発風刺画の続き 仏紙「謝罪しない」

フランスと日本、都会と田舎、中上級階級と庶民など、さまざまなはざまで生きてきた境界人であるため、他の人と違う視点を持った著述家として活動しています。コラム執筆などの依頼も請け負っております。

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フランス新聞 風刺画 フランスで見つけた日本
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カナール・アンシェネ(Le Canard enchaîné http://lecanardenchaine.fr/)というフランスの週刊紙で、五輪開催地に東京が選ばれたことと、東京電力福島第1原発での汚染水漏れを関連づけ、腕や脚が3本ある力士などを描いた風刺画が掲載されましたが、今回はその続きと結果。

【フランス新聞】五輪開催地に東京が選ばれたことと、原発での汚染水漏れを関連づけ、風刺画を掲載
http://www.franceplusplus.com/2013/09/le-canard-enchaine/

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菅義偉官房長官は、在仏日本大使館を通して同紙に抗議する意向

12日に会見した菅義偉官房長官は、在仏日本大使館を通して同紙に抗議する意向ということで、フランスでも流されていました。

カナール・アンシェネのオロ編集長へのインタヴュー

フランス 風刺画
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130913-00000074-reut-int

オロ編集長はル・フィガロ紙の取材に応じ、「なぜ謝らなければならないのか?私には分からない」と語った。日本側の抗議に対して驚きを示し、「私は誰も傷つけていない。日本政府は漫画を批判するだけで、東電が汚染水を垂れ流し続けることには触れようともしない」と反対に日本の汚染水問題に対する姿勢を非難した。

これに対し、フランスのメディアは「日本のユーモアに対する理解はフランスの風刺漫画家や評論家とは違うようだ」「日本人は福島に対する風刺に耐えられない。彼らにとってみれば、これは被害者の傷をナイフでえぐるような行為だ」などと報道。ネット上では「日本人がどう思おうと、こうした風刺の精神はフランスには欠かせないもの」「カナール紙は何も悪いことをしていない」といった声が挙がっている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130913-00000015-xinhua-cn

カナール・アンシェネの風刺画は、日本側からしてみればかなり腹が立つ内容だと思います。がフランスではこれが普通なようです。

だいたい、日本では

「人の嫌がることをしてはいけませんよ」

と教えられてきました。

が、しかし、フランスではこういう「ジョーク」と言う名の下で、結構「嫌なこと」をされます。

昨日も、娘の仲良しのお子さんが、

「どうして、アジア人は目が細いと思う?」
目の端を引っ張って、細い目にして、
「え~今日もご飯なの~~」

と娘に言ってました。

文字に書くと分かりにくいかも(笑)

要するに、

ヨーロッパのようにおいしいパンではなく、毎日貧素なご飯を食べなくちゃいけないので、ガックリして目を引っ張って目を細くした。

みたいなジョークです。

いや、確かに、フランス人の中でそれをすれば受ける内容かもしれませんが、それをアジア人に向けて言って笑えるかと言うと。。

私は笑えませんね。

ってか、アジア人の子供が学校にいるのにもかかわらず、
わざわざそんなジョークを子供に教えるな(#・∀・)
大人同士では面と言われなくてもでも、家で何を言っているのかバレバレ。
悪気がないとか、そういう問題じゃなく、
人を尊重する気持ちがあるか、無いかの現れだわ!

といつも思いますが。。。

でも、そういったジョークを一般のフランス人が普通に言っているんですよね。

そして、ジョークにしないとしても、周りのフランス人も気になっているのは日本の原発問題。

「どうして不手際が多いのか?」
「使いこなせないなら、原発なんて使うべきじゃない」
「どうして日本のロボットは優秀なはずなのに、フランス製を使うのか?」

この前、一般医のところに診察に行った時に、日本でのバカンスはどうでしたか?と聞かれたので、

「日本の夏は最近暑くて、36度とかあるんですよ~。私が小さい時はもっと温度が低かったのに」

なんて、話しをしてました。そしたら。。。

「(少し沈黙して)・・・環境団体はなんていってるんだね?」

と言われて

(;・∀・)ハッ?

よく分からならなかったので、何度も聞き直したら、どうも事故が原因で日本の夏が暑くなっているのでは?と思っている様子でした。

その発想の展開の方がびっくりしたものです。。。。

「日本政府が責任をもって取り組む」意気込みが見えない

日本国内では、ほんとのところどのように放送されているか、わかりませんが、

世界に影響を与える可能性もあることにもかかわらず、

◯ 「日本政府が責任をもって取り組む」意気込みが見えない。
◯ ちゃんと対応しているように見えない

という印象を受けているフランス人が多いのではないかと思います。

例えば、16日に行われた、日本政府主催の福島第1原発汚染水漏れ問題に関する説明会でも

国際原子力機関(IAEA)総会の関連行事として16日夕、ウィーンで開催された日本政府主催の福島第1原発汚染水漏れ問題に関する説明会で、各国の専門家から抜本対策の遅れや規制当局のあり方などを問う厳しい指摘が相次いだ。第一義的な責任は東京電力にあると繰り返す日本側の説明からは「政府が責任をもって取り組む」(山本一太科学技術担当相)との意気込みが伝わらず、責任の所在のあいまいさを印象付けた。

経産省の担当者が「
法的な責任は東京電力にあり、我々はサポーターの立場。東電には資金もアイデアもなく、2年間も良くない状況が続いてしまった」
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130917-00000022-mai-pol

いや、多分、責任は東電にあるのかもしれませんが、主導権は日本政府が握って指揮するのが当然でしょ。

と海外からは、誰もが思っていると思うんです。

でもって、批判ばっかりで、一致団結して解決しようという姿勢はまったく見えない。

まあ、もちろん根本的に難しい事故処理であることは間違いないと思います。
そこをなんとか解決するリーダーシップ感や、技術力の高さが示されたら日本の信頼度もアップしそうなものですが・・・

そういった不信感を持ったフランス人の「ブラックなジョーク」。
カナール・アンシェネの風刺画は、もともとフランス人を対象にしているので、おふざけ感が極まりないですが、

「でも日本人を含む誰しもがそう思っているだろう。代わりに代弁してやってるんだよ」

ぐらいにカナール・アンシェネのオロ編集長思っているのではないかと。なので、

「なぜ謝らなければならないのか?私には分からない」

と言う返答になったのではないかと、推測します。

かと言って、オリンピックに引っ掛けることは無かったと思いますがね。

フランスで掲載された記事いくつか

◯Le Canard Enchaîné fâche le Japon
http://www.lefigaro.fr/

◯”Le Canard enchaîné” froisse Tokyo

http://www.lemonde.fr/

◯JO 2020 : deux dessins du Canard Enchaîné irritent Tokyo
http://www.leparisien.fr/

◯Le Canard Enchaîné irrite le gouvernement japonais
http://www.7sur7.be/

コメント

  1. より:

    東京オリンピックが決定した後、ドイツの大手新聞社”Die Zeit”というサイトの記事にも「選手の皆さんは放射線の中でがんばってね」とか「放射能が選手のパフォーマンスを向上させるだろう」など皮肉が込められた書き込みがよく見られました。先日ドイツを旅行しているアルゼンチン出身の女性と話をし、彼女は何かのドキュメンタリーを見て「東京を旅行してみたいと思っていたが、今は絶対に旅行したくない」と言っていました。彼女がどのドキュメンタリーを見たかは知りませんが、東京が放射能に深く汚染されていると思い込んでいるようでした。しかし会話の最中チェルノブイリと福島の情報がごっちゃになっていたので、「正確な情報を確認してね」と心の中で思っていました。
    私の大家の夫、イタリア人なのですが、私と話している時、欧州人と中国人の顔の特徴を説明してきました。彼によると中国人は(自分の鼻を指で押し当てて)「平べったい鼻」を持っているようです。ポカーンとして聞いていましたが、ドイツ人はそういった人種の説明は歴史的背景と政治的に間違っていると教え込まれているのでそういうことはしないなーと思って話を聞いていました。

    それでも公の場と私的な場の差というのは大きいだろうなというのはドイツでもひしひしと感じています。
    絶対家では問題を起こす移民系には特に色々な愚痴を言ってるんだろうなー、と一人で想像しています。
    しかし以前にulalaさんがおっしゃられた通り、「人による」というのがやはり欧州においての結論なのではないのかと感じています。いくつかフランス人の友達がいますが、みな優しいです。とは言っても私たちの出会いの場がインターナショナルでアジア人を始めとする多くの人種、民族がいると分かっていたというのが大きな要因だと思いますが。そうではない普通の、他の文化が存在しないいわゆる地方に住んでいる方々にはそういった対応は難しいのだろうと最近感じています。でもこの「地方」が鍵だと思います。なぜなら欧州の都市はこの「地方」で成り立っているからです。
    「欧州というのは日本人の頭の中にある絵とだいぶ違うなー」とよく思います。
    長々と失礼しました。これからも良質なブログ楽しみにしております。

    • ulala より:

      インターナショナルな場にでることが多い日本人はあまり感じないかもしれないことを、地方の普通のフランス人の間にいると「ひしひし」と感じるとか、

      まさに池さんが思っていらっしゃること、私も感じてますよ。

      >「欧州というのは日本人の頭の中にある絵とだいぶ違うなー」とよく思います。

      日本というのは欧州人の頭の中にある絵とだいぶ違いますよね。

      >長々と失礼しました。これからも良質なブログ楽しみにしております。

      ありがとうございます!<(_ _)>

      も~子供達へ使う時間との戦いで、なかなか思うように作業ができなくて、歯がゆいところなんですが、「良質」を心がけて書いて行きたいです♪

  2. おーれ より:

    去年、サッカーの川島選手が抗議したときにはフランスは謝罪したはずだが?あれは謝罪するふりだけだったんだね。本音は違っていたんだね。下種すぎるわ。

    ://www.j-cast.com/tv/2012/10/17150310.html?p=all

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