フランスのエリート教師と問題だらけの生徒の交流と成長を描く映画『#12か月の未来図』

日本で、フランスのエリート教師と問題だらけの生徒の交流と成長を描く映画『12か月の未来図(フランス原題 Les Grands Esprits)』が4月6日(土)から公開されます。

この映画はフランスでは2017年に公開されていた映画。

私も見ました、、、が、

(´;д;`)ブワッ

ラストは感動して涙。。

フランスで長年子育てしてきてるから、事情が分かり過ぎて、分り過ぎて、、、

底辺教育をする先生が少ないフランスの学校

映画の内容は、フランスではトップと言われるパリ5区の名門公立高校「アンリ4世」から、移民が多く学力レベルの低いパリ郊外の中学へ、1年間限定で赴任した教師フランソワを主人公としたお話しです。

アンリ4世高校(リセ・アンリ=キャトル、Lycée Henri-Ⅳ)は、子供をここに通わせるために5区に引っ越してくる人が多いほど、成績のレベルも高い公立高校で、数々の有力者を輩出してきた高校です。

現在の妻であるブリジットさんの関係が発覚して、マクロンさんが高校最終年を過ごすために両親に送り込まれた高校でもあります。高校ももちろんですが、その後にグランドゼコールの試験のための準備クラスであるプレパーのグランドゼコールへの進学率もとても優秀なので、マクロンさんもプレパ―もアンリ4世高校で過ごしました。

まあでも、マクロンさんはプレパ―後は、実はエコールノルマルの試験には2回落ちてるんですけどね。。結局普通にパリ10第大学で哲学を学んだあと、その後パリ政治学院(シアンスポ)、国立行政学院(ENA)に行きました。

そういう周り道をする生徒ももちろんいるとしても、とにかくアンリ4世高校プレパ―はグランドゼコールへの入学率も高く、それを準備する高校ももちろんレベルを高く保っており、そのためフランス全国から優秀な生徒が集まってくる高校でもあります。

ようするに、この高校は、

既に頭がいいか、やる気のある学生のみ

が通う高校とも言えるのです。

そういう高校で勉強を教えている教師は、確かに生徒の要求に答えられるような高いレベルの知識を持っていることは求められ、高いレベルを目指して教え、要求に答えることは日常ですが、こちらから何かアクションを起こして生徒に勉強することの大切さ、方法から教えるという経験は少ないのではないでしょうか。

しかし、こういったほっといても出来る生徒に囲まれている状況にいると、教師は自分の教育者としてのレベルが高いから優秀な成績の生徒を輩出できるのだと思いがちです。

もちろん高いレベルの生徒の要求に答えられるので、知識レベルも高いのは間違いないのですが、でもその場合も、もともと生徒がレベルが高いのであり、教師が真の教育者としてのレベルは高くないことはよくあること。

アンリ4世高校で教えているこの映画の主人公のフランソワもその一人だと思われたでしょう。

「郊外の学校にも、能力ある教師を送ればレベルも向上するよ。」

と、ある日、ちょっとした場で公言した言葉が教育関係の仕事をしている人の目にとまりました。そこで、「じゃあ、やってみてください」と言わんばかりに、1年間、校外の中学校に派遣されたのです。

結果的に、フランソワは、有名校でただ教えているだけのスノッブな教師ではなく、実際に能力ある教師だったわけですが、

なぜ、作者が鼻もちならない教師に「じゃあ、やってみてください」と、パリ郊外の中学校で教えさせたいと思ったかは、とてもよくわかりますね。

だいたい、フランスの教師って周りを見回してみても

教育者として、何かおかしい人が多いんです!

ボトムアップを推進し、生徒全体の平均点が高い日本から来たからそう思うのかもしれません。

「勉強する」ということを教えないのに、どうしてその存在すら知らない生徒が「勉強する」ってことを理解できるのですか!

といつも思えてしょうがありません。

確かに教師職は難しい職業だと思いますよ。特に、パリの郊外の学校は、移民・貧困などの問題を抱える家庭が多く、まさにフランス社会が抱える問題の真っただ中にいる生徒の集まり。勉強している内容が分らないと言うだけではなく、勉強の仕方も知らない、勉強する意義も知らない、親も教えることができない、と言う、それこそ第3者が助けの手を差し伸べるべく環境の生徒が多いものです。

しかしながら、この映画にも出てきますが、フランスの教師はこういった生徒について

クラスの半分は役立たず

と言い放ちます。

そうして、「他の生徒のためにも」と言い、どんどん、どんどん中学校を退学させていくのです。

その結果、フランスでは、

中卒の資格すらもたない人を増やし、

失業者が増えることにもつながっていく。

しかも、そういった理不尽な学校に対しても、親達がどうやって戦っていくかも知らない場合が多い。

パリ郊外ほどではありませんが、そこまで移民もおらず、全体的に教育レベルも高いと思われる公立の学校でも、移民に限らず先祖代々住んでいるフランス人に対しても同様な姿がよくみられます。

まず、フランスの教師は、「偏見」「レッテル」で物事を見ることが多い傾向にあります。そして、できる生徒は「ちやほや」し、出来ない生徒は「生徒が怠け者だから」「家庭環境が悪いからしょうがない」と言って捨てておかれる姿を何回も見ました。

もちろん、

この映画に出てくるフランソワのような「熱血に」「親身」になってくれる教師もいないわけではありません。実際、そういう素晴らしい教師に救われている人達もいるのは事実でしょう。

しかし、それはとても少数派です。しかも、最初は親身になろうと言う気持ちがある先生方も、なんでもないことに難癖つけて文句を言ってくる生徒の親に対応していくうちに、心身ともに疲れて、結局「成績のよい生徒にだけ力を注いで成果をあげる」方向に流れていく先生もいて、ほんとうに残念だと思うこともありました。

とにかく、底辺教育しようとする教育者が少ないんです。出来ない子はほっとかれる。

だから、出来る子は出来るけど、出来ない子は出来ないと言う大きな格差が生まれて行き、もともと階層社会ではあるけれども、更に階層の固定化につながって行っています。

その状況をなんとかしようと、フランス政府は教育改革を続けており、現在は、レベルごとにクラス分けをしないようにしたり、宿題を減らし家庭環境が影響を与えないようにしたり、勉強が遅れている生徒を留年させるのではなく補習時間をプラスで設けて勉強の手助けをするように変わりつつあるとこではあります。

ですが、今までボトムアップをしっかりする教育を受けたこともない人達。生徒に教えるのもどうすればいいかわからない人も多く、現時点ではあまり成果がでていない事例も見かけますが、、、

それだからこそ、この映画の内容が、身に染みて、分り過ぎて、、思わず(´;д;`)ウルっと来てしまいました。。。。

この映画を見ることで、垣間見れるのはフランスの

  • エリートの授業風景
  • 一部のフランス教師のクソぶり、そのひどい教育姿勢
  • 移民の子供たちの置かれた状況

実際はこんな風に救われることは、現状では稀なケースだから映画になるんでしょうね。

でも、だからこそ「こうなったらいいな」、、、と言う、フランスの教育に対する願望が詰まった、フランス人による作品なのではないでしょうか。

階層社会になりつつあり、今後移民も増えていく日本にも、将来のあり得る姿として、参考になる映画かもしれません。

とても、心温まる、素敵な映画でした。

4/6公開『12か月の未来図』予告編動画

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